2011年5月15日日曜日

しもたま柔道&闘病日記-その14-

しもたま柔道&闘病日記-その14-
世間ではスパイゾルゲの映画化でもりあがっている。太平洋戦争中は、多くの人がスパイ容疑で逮捕されたようだ。祖父の親戚で、当時は日本領だった台湾で小学校の校長をしていた人物がいた。侵略者側だったといえば、そうにはちがいない。が、彼はどんな根拠か、旧日本軍にスパイ容疑をかけられてしまった。情報収集のために台湾に行ったわけではない。もちろん無実の罪だが、当時は拷問である事ない事しゃべってしまう危険が高かった。そんな彼がとった行動とは。台湾からに九州に連行されたとき、事情聴取も(拷問も)裁判も待たず、ついた鹿児島県のとある桟橋で彼は、「割腹自殺」で無実をはらしたのだった。このように祖父の郷里の人は(柔道日記その8に書いた柔道九段のように)、とてもハートが「あつい!」。彼が戦争中ではなく、平和なときにそのハートが発揮されていればと悔やまれる。試合は、「戦い」。団体戦や国対抗は、戦争をふくめた「集団対集団の戦い」の一種なのかもしれない。しかし、試合が行われるのは、平和ならではだ。これからも、大人も子どもも試合を楽しめる世の中であって欲しい。
この9月に柔道の世界選手権があり、国と国とが名誉をかけて闘った。会場の多くの人が「日本がんばれ!」と応援していた。しかし子どもの試合ばかり見てきた私には、「大人と大人が闘っている!」ということがとりわけ注目すべきことであり、事実、とても参考になった。大人といえば、7月に行われた、和歌山県の成年男子の団体戦も「大人同士」の試合だった。和歌山大会と世界大会、あえてこの二つの試合を、見た感想を比較してみたい。
県の団体戦と国際試合とのルールの違いは、団体戦は5人の結果で競うために引き分けがあり、国際試合はトーナメントのため必ず優劣がつくまで闘うことである。「効果」一つでも多ければ勝ちとなり、きれいに投げられなくても、相手がよろけて肩さえついてくれればいい。県の団体戦は、わたしにとって昇段試合の参考になるし、国際試合は、体重別の参考になる事だろう。
まずは和歌山県の団体戦の話から。さぞ、にぎやかなこととおもいきや、参加チームはとても少なかった。高校生まではスポーツ熱心だが、大人になってまで続ける男性が少ないのだろう。滝川道場のような、9時を過ぎると黒帯びの男性が大勢、黙々と遅くまで練習、、、といった光景は(私には見なれているが、、、)実は珍しいことなのだとわかった。我らが滝川道場からは、二十歳過ぎの若者から四十前のパパまで5人が出場。普段の練習とは違って、さすがに慎重な柔道だが、いろいろな技が飛び出し、見ごたえがあった。結果であるが、滝川道場は惜しくも3位だった。もう少しで準優勝だった試合だったので、みんな残念がったが、とても内容のいい試合だった。
大人の柔道は緩急のついた、予想以上にゆったりとしたものだった。しかも、組み合ったまま数十秒、凍り付いている人もいる。それでいて、ここぞというときのスピードの速さ。一瞬のうちに、相手を崩して担ぐポジションにもぐりこんでいる。それもそうだ、若さに頼る数打ちゃあたる柔道では、体力の消耗が激しい。大人は自分の体力に見合った動き、頭脳勝負のかけひき柔道なのである。子ども達の場合、年齢が上がるほど力が強く、スピードが増す。技を繰り出すスピードも、中高生になると息つく間もない。スピードで相手を崩し、スピードで自分の得意の形に持ち込む。こういうスピード柔道の子らがゆくゆく大人になると、今度は相手の仕掛ける技、作戦の裏を読み合い、すきを見つけては相手を自分のパターンに巻き込む柔道をし始めるのである。「私も、成り行き任せのいのしし柔道ではなく、ゆくゆくは自分のペースで緩急がつけられたらいいのになあ」。スピードがこれから年齢とともに増していくとは思えない私にとって、自分の目標が出来たのが嬉しかった。
世界柔道は、すり足できびきび動き、深々と礼をする東アジア系の選手に対し、外国人選手を見ていると、違うスポーツのようの気がするほど、動きが柔道らしくなかった。ちょこまか、ぱたぱたと、形ばかり。一級受けの小中学生でももう少し様になっている気がする。それでも、スピードとパワー、相手の背中を畳につけるという「技」にかけては、世界級なのだ。48kg以下や60kg以下でも筋肉隆々パワフルな柔道をするし、78kg以下100kg以下でも身軽に技を繰り出している。小学生大会や中学生の体重別を見ていると、軽い人はすばしっこく背負いの技が多いし、重い人は力を活かした内股払い腰、背の高い人は大外刈りが多いと、プレースタイルに差があるものだが、世界柔道を見ていると、大きさに関係なく同じような闘い方をしているように思える。柔道を始めたての頃のように、技の形や思い込みにとらわれず、豊かな発想で臨機応変に闘う大切さを、ここで感じた。
昇段試合では、いろいろな体格の人とあたるので、小柄な私に向いた技をもっと使えるように工夫していくべきだろう。体重別に出るつもりなら、いろいろな種類の技を繰り出して長短を研究するべきなのだろう。まあしかし、私の場合、まずは一つでも得意技を見つけることが、先決のようである。理想の大人の試合に向けて、日々の練習だ!

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